ロシア人7000人、プーケット島で立ち往生 ウクライナ侵攻で帰国手段断たれ

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ロシア人7000人、プーケット島で立ち往生 ウクライナ侵攻で帰国手段断たれ

    ロシア人7000人、プーケット島で立ち往生 ウクライナ侵攻で帰国手段断たれジョナサン・ヘッド、BBCニュース(プーケット)新型コロナウイルスの拡大でアジアの観光業界は大きく落ち込んでいる。タイのプーケット島ほど、その影響を受けている場所はないだろう。北から南まで50キロに満たな

ロシア人7000人、プーケット島で立ち往生 ウクライナ侵攻で帰国手段断たれ

    

ロシア人7000人、プーケット島で立ち往生 ウクライナ侵攻で帰国手段断たれ

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ジョナサン・ヘッド、BBCニュース(プーケット)

新型コロナウイルスの拡大でアジアの観光業界は大きく落ち込んでいる。

    タイのプーケット島ほど、その影響を受けている場所はないだろう。

    北から南まで50キロに満たないプーケット島はその美しいビーチで有名で、海外から年間約700万人の観光客が訪れていた。

    

新型ウイルスのパンデミックが始まってから1年以上もの間、タイの国境はほぼ閉ざされている。

    海外からの入国者に対しては厳しい隔離措置が導入された。

    プーケットでは20万件近くあった観光関連の仕事の半分以上が失われた。

    

昨年、感染対策の制限は徐々に緩和されたものの、タイを訪れる外国人観光客の大部分を占めてきた中国は依然として、国民の渡航を非常に厳しく制限している。

    

こうした中、プーケットを訪れる外国人観光客の第1位にロシア人が浮上。

    昨年12月には約1万7000人が足を運んだ。

    

プーケットで人気のカロン、カタ、パトンの3ビーチを散策すると、キリル文字が使用された看板や、ボルシチやペリメニ肉団子などロシアの故郷の味を提供するレストランなど、近年のロシア人観光客ブームの痕跡があちこちにあることがわかる。

    

ところが、ロシアによるウクライナ侵攻が始まると、多くの航空会社が航空機の運航を停止。

    約7000人のロシア人がタイで足止めを食らった。

    その多くはプーケットに滞在している。

    

こうしたロシア人を最も悩ませているのはお金だ。

    西側諸国がロシアに制裁を科したことで、ATMから現金を引き出せずクレジットカードも使えなくなった。

    

ほとんどのロシア人観光客はジャーナリストと話したがらないが、1組の夫婦が名前を伏せることを条件に取材に応じてくれた。

    ロシア国内ではウクライナで起きていることを戦争と呼ぶだけで訴追される恐れがあり、取材を受けて帰国した際の影響を恐れていた。

    

夫婦はウクライナ侵攻が始まった日に、モスクワからプーケットへやってきた。

    今はお金が残っている限りタイにとどまろうとしている。

    2人とも侵攻におびえている。

    

「銀行を何カ所も回って、ATMも何カ所も回りました。

    10カ所中9カ所では断られましたが、何とか現金を手に入れられました」

「(民間の米送金大手)ウエスタンユニオンや暗号通貨などの他の手段もありましたが、毎日閉鎖されていっています。

    昨日まで使えていたものが今日は使えません」

「毎日ニュースを見ている」

ロシア軍がウクライナ各地の都市への攻撃を開始した頃、タイに滞在していたウクライナ人にとっては、状況はもっと深刻だ。

    

私は、ビーチサイドにあるホテルでアントンさんとアリーナさんに出会った。

    タイの役人は出国できない人々のビザを延長するために、このホテルを臨時の入国管理事務所として使っていた。

    

二人の人生は戦争によって一変した。

    同じ状況に置かれたウクライナ人は、アントンさんとアリーナさんを含め10数人いた。

    昨年12月からタイを旅行していた二人は、3月中旬に空路でキーウ(キエフ)に戻る予定だったが、フライトがキャンセルされた。

    家族からはできるだけ長く海外にとどまるよう言われているという。

    

「ここではリラックスできないし、楽しく海で泳ぐこともできない」と、アリーナさんは話した。

    「毎日、ニュースを見たり読んだりしています。

    不運なことに、私たちは家族を助けるために国に帰ることができません」

アリーナさんは家族について、キーウの比較的安全な場所にいると話す。

    ただ、自宅からそう遠くないところからロシアのミサイル攻撃の音が聞こえることがあるという。

    8年前にウクライナ軍と、ロシアの支援を受ける分離派の紛争が始まり、故郷の東部ドネツクを離れなければならなかったときの記憶がよみがえるのだという。

    

アントンさんの家族はキーウを離れてハンガリー国境近くへ移った。

    状況が悪化すれば国境を越えられるようにだ。

    

ユリアと名乗る若い女性が泣きながら私のもとへやってきて、携帯電話の写真を見せてくれた。

    そこには、彼女の自宅があるキーウ郊外イルピンの町が写っていた。

    町は攻撃で破壊されていた。

    

家族はキーウへ移動したと、ユリアさんは教えてくれた。

    しかし、彼女は動揺のあまりそれ以上話すことはできなかった。

    タイに取り残されたウクライナ人は皆、ビザを90日間延長できるものの、お金が底をつくことを心配する人もいる。

    

こうした中、地元企業などがこうした観光客を救う手だてを模索している。

    

在タイ・ウクライナ大使館によると、タイの住民から、無償で宿泊場所を提供するとの申し出が100件以上寄せられているという。

    タイ政府はロシア人が滞在費を支払えるよう、国際送金アプリや地元の銀行システムを利用するなどして資金を移す方法を探っている。

    

私たちは昼時にカロンにあるレストラン「ザ・ヴェランダ」に足を運んだ。

    入り口では大きなプラスチック製のクマの像が出迎えてくれたが、店内はテーブル席が2つ埋まっているだけだった。

    

「新年を迎えたころは毎日満員でした」と、店長のディーさんは言う。

    「でも、お客さんが食事代を引き出せなくなってしまったんです」。

    

この店のロシア人オーナーは、ズベルバンクやアルファ、ティンコフといったロシアの銀行が発行したカードによる送金払いを勧めている。

    

私が出会ったロシア人カップルは、デンマーク企業「Plan-B」が所有する格安ホテルに滞在していた。

    

共同経営者のトーク・テアケルセンさんは、ウクライナ人とロシア人の顧客に割引や、より安価な部屋への移動などを提案していると話す。

    現金を使い果たしてしまった人には、無料のベッドを備えたホステルを割り当てている。

    

観光業復活への期待

美しいビーチではいまも、ロシア語を一番よく耳にする。

    寒い冬を逃れようと、カザフスタンや、オムスク、イルクーツク、ノボシビルスクといったシベリアの都市からやってきた人たちだ。

    

しかし、その数はパンデミック以前の何分の1かに過ぎず、現在も減少傾向にある。

    

タイ政府とロシア大使館は今後数週間で、特別便を手配、あるいは現在もタイに就航している航空会社を利用するなどの方法で、取り残されたロシア人を帰国させることを検討するとしている。

    

ロシア人観光客が帰国してしまうと、復活しつつあったプーケットの観光業は再び停滞し、欧州やインド、そしていずれは中国からの観光客がかつての水準まで戻るのを待つことになるだろう。

    

テアケルセンさんは、近いうちに観光客が戻ってくると確信している。

    

「いま、世界でこういうことが起きていても、過去2年間自宅にとどまって貯金をして、旅行を心待ちにしている人はたくさんいます」

「タイがアジアの主要玄関口として国境を開放した時に、ほかの国が国境を封鎖しているのであれば、大勢の人がタイに足を運ぶでしょう」

(英語記事 Trapped on a Thai island as war rages in Ukraine)

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